デンキ的まんが倶楽部

電子書籍(まんが)を売るための情報収集を日々しております。

アニメ版「ぼくらの七日間戦争」考察(ヤンキー少年が主役になれなくなった時代で)

f:id:naruton2018:20191218204357j:plain
アニメ版ぼくらの七日間戦争を観てきました。元の実写映画は30年以上前の作品で、ワタクシ自身子供心に何となく「戦車に子供が乗ってる映像」程度の記憶しかなく、今でも実写映画版は未見なのですが、話としては自分達を縛りつけようとする権力を持った大人たちに対して、少年少女が建物に立てこもって結託して反抗するという世代間対立を扱ったものだったようですね。

90年代位までの少年まんがやアニメの少年主人公っていうと、大人の作った仕組みに入るのを嫌うヤンキーとか暴走族が仲間たちと徒党を組んで、他校の生徒だったり学校や教師だったりあるいは化け物軍団とか変な組織と戦う。みたいなのがずっと主流にあったと思うんですが、涼宮ハルヒあたりからでしょうか…主人公のキョンは不良とかのつながりも別にないホントに普通の高校生だったしりて、それ以降あたりからもうまんがやアニメの世界などから不良系の主人公はほとんどいなくなってしまったんじゃないでしょうか?

それじゃあ不良じゃない今の十代が自分達のフラストレーションを例えばどこにぶつけているかと考えると、例えばその中の一つが自分より下だと思っているカーストのクラスメイトだったり全然知らない他人へのネットバッシングへの加勢とかいう方になっているんじゃないかと(実際この映画でも中盤にネットリンチや裏アカを使っての他人へのヘイトというのが出てきます。多分ここが昔の実写映画の時代とは一番変貌した所だと思いますし、それを上手く物語の中に取り入れたところに感心しました)

 

一方で旧作から引き継いでいる権力をもった大人たちとの対決、これも本人たちが望んだことではなくそうならざる得ない状況に追い込まれてしまったからやってやろうという感じで話が進んでいきます。そしてその中の大人たちのを仕切っているボスやリーダーが主人公たちの中の二人のヒロインの実の父親で、基本的に大人社会への反抗というより親子間の対立という色合いが強かったように思われます。

とはいえ実はこの二人のヒロインが二人とも実は×××(ネタバレ禁止)という設定があるのですが、作品中では触れられてなかったもののこの×××のヒロインと親の旧世代の価値観の対立というのがひょっとしてあったんじゃないかという気がしておりますし、もしかすると今まではあまり表には出にくかったこの価値観の対立というのが、これからの時代の世代間対立の新しい火種になるのかもしれないし、それこそこの作品がその始まりを告げているのかも…

 


映画『ぼくらの7日間戦争』予告【12月13日(金)公開】