「#電書ハック」という小説を読んでみた。
柳井政和という人の書いた「電書ハック」という小説を読んでみました。(ちなみにツイッター上で本書のタイトルのタグを入れておくと作者自ら感想を読んで下さるようなので)
ネタバレは避けますが、学生時代から紙の本をこよなく愛していた主人公が念願の出版社に入社したものの配属されたのは、新興の上に日陰の電子書籍取り扱い部署だった…というところから、個々の電子書籍に関わる人々の話へと広がっていきます。
感想としてはページ数の割りにエピソードと登場人物が多くて一つ一つのエピソードがどうにもインパクト不足な感じがしました。盛り込み過ぎて全体の尺が足りなかったという感じですか。ただ言いたいことの
例え読者に作品を届ける方法がどう変わろうとも、作ってる人間の気持ちは基本的に変わらない
という事はよく伝わってきました。しかしこの小説の要素の一つでもある、なにゆえ紙の本に関わってきた人は電子書籍に思い切って行けないのか(尤も自分も本どころかCDも未だに円盤で買ってるような人間なのですが…持ってるっていう存在感ってどうしても感じたいのよね)
これに関しては2011年に出た、大塚英治氏の本に「手塚治虫が生きていたら電子コミックをどう描いてただろう」という本の序章に
「雑誌」や「本」などのメディアがブランド化してしまっていて権威化してしまっているから今のところブランドもなんもない電子書籍なんかには行きたくない、そして新しい「出版」の世界の外に出ていくのが怖いから…と書いてありました。著者自身が40年以上のベテラン有名編集者なのできっと事実なのでしょう
そういう意味では今若手ネットベンチャーの方が積極的にまんがに関心を示し始めているという事からしてもプレイヤーの交代期でもあると感じますし、何より送る方も書く方も
「新しい未開の新大陸に行くのか、このまま安全な故郷にずっととどまり続けるのか」という選択を迫られてる気がします。
手塚治虫が生きていたら 電子コミックをどう描いていただろう 大塚教授の漫画講座
- 作者: 大塚英志
- 出版社/メーカー: 徳間書店
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