デンキ的まんが倶楽部

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ナンバーナイン主催の「漫画家ミライ会議」を3日間ずっと見て。

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ワタクシめもお世話になっている、まんが電子書籍配信代行サービス会社のナンバーナインさまの主催で、今月2日から4日までオンライン視聴型の「漫画家ミライ会議」という、各方面で現役で活動されておられる漫画家さん達などを集めて話を聞くイベントが公開されておりました。

本当は全部のコーナーについて感想など述べたいのですが、さすがに難しいので独断と偏見で個人的に印象に残った部分について書かせていただきます。(後日アーカイブ化していつでも見られるようにはするらしいので、見逃した方はそちらでどうぞ)

●漫画家は何歳まで漫画を描き続けられるのか

1日目はの東京トイボックスのうめの一人の小沢高広先生ちはやふる末次由紀先生を招いてのお話。ちなみに最近「漫画家歴67年、91歳の現役漫画家わたなべまさこ先生の新連載が始まった」というニュースを読んで驚いたばっかりだったんですが

小沢先生が持ち出されたこの表が大変参考になりました。(スクショ撮ってる余裕がなかったのでカメラ撮影写真ですがご勘弁)

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ここに書いてあるのは左から社会的要請、創作意欲、健康、経済的余裕の4条件のうち満たしているのが多いほど描き続けられる可能性が高くなるという事を示したものです。(この表、創作活動に限らず他のあらゆる業種活動にも応用できる大変優れたものだと思います。)

創作活動において常にモチベーションを保ち続けるのはとても大変だと両名ともおっしゃっておられましたが、創作を趣味のうちにとどめている人はともかく、副業ないしは収益の要としている人はやはり右端の経済的余裕の確保が一番の課題になると思われます。

しかしネットでタダ見が当たり前になった昨今において日増しにそれが難しくなっているというのはこの会議の話を聞いていてもずっと感じましたし、何よりこのままだと【長期的にわたって魅力的な作品を作り続けられる×ネットでの自己アピールに長けている×そのネットを使ってドンドンお金を回収できる】人しか続けられなくなるような気がしてきまして「そんなキングギドラみたいな超人そんなにいるかーっ」と言いたくなってしまったというか…

 

●左利きのエレンの前代未聞の拡がり方。

次に印象に残ったのは元々cakesの掲載から始まってそのあとジャンプ+にも拡がっていった「左利きのエレン」の作者、かっぴー先生とそれをマネジメントしているけんすうを招いてのインタビュー。

確かにエレンというこの作品、コピー用紙にフリクションボールペンで描いたものがそのままネットに掲載されて広がっていったもので、しかも収益の要が書籍の売り上げよりもむしろクラウドファンディングだったりするという、今までずっと考えられていた「ペン入れされて清書された原稿が雑誌などに載ってから話がたまってきたら書籍として綴って発売して稼ぐ」というモデルとは完全に違った方法を使っておりまして、それがとても新鮮で刺激的に感じました。尤も同じ形式の方法を取っている作品がまだほかに出ていないのでこのやり方が定着するかは分かりませんが、今後はこういう今までにはないタイプを使った作品が色々出てくる時代になるのかなあと感じました。

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その「左利きのエレン」の作者のかっぴー先生も使われているのがこの0000Studioというサービスでして、作品の製作工程を中継しつつそこからファンの人にお金を貰おうというものです。

0000.studio

あとは同コーナーのゲスト、けんすうさんの企画されているプロセスエコノミーというシステムについて

kensuu.com

 

 

 ●畑健二郎先生による長寿連載の格闘の日々。

2日目の最後週刊サンデーでハヤテのごとく!、今は「トニカクカワイイを連載中の畑健二郎先生と、「彼女、お借りします」をマガジンで連載中の宮島礼二先生の対談。その中で面白かったのが畑先生がハヤテをずっと連載していた時のご自身の胸の内の話

・二年目までは燃えていてやる気が続く。しかし24巻前後でピークが来て迷いが生じるようになる。以降読者の反応だけでなく自分の引き出しの限界との格闘になっていく…

・1年間続いた必勝パターンが2年目ではもはや通用しなくなる。

・アニメのクールが終わったとたんお祭りが終わったような空気になって、寂しい気持ちになる…

などなどでした。あとは2ちゃんのアンチスレにあえて覗きに行って『金持ちのマンガ描いてるくせに貧乏くさい』という書き込みにカチンときて、自腹で高級ホテルに泊まってきて金持ちの生活を疑似体験してきておかげで色んなことが分かった等々、普段なかなか聞けない話が聞けてすごく面白かったです。

 

● 10年後のマンガは今と同じ姿をしているとは限らない。

 そしてお二人に対して『10年後のマンガ業界はどうなっていると思うか』との質問に対し「どうなっているか全くわからない、雑誌どころか出版社も無くなっているかもしれない」という返答…ワタクシも中学生時代サンデーをずっと読んでいましたけど、その時はそんなサンデーやマガジンが無くなるなんて事は夢にも考えなかったことですからねえ。いずれにせよ10年後のまんがの在り方は今とは全然違う形になっていることだけは事実だと思っていいかもしれません。

 

あと1日目のゲストだった赤松健先生が「長年描いていると手癖で描くようになってしまう」という話が2日目の途中でで出てきた時にワタクシ、こんなツイートをしたんですが

それを何と、畑先生に読んでいただいてしまったのです…

(*´ω`*)

 とゆーわけでそのツイートに至るいきさつを僭越ながらまんがにさせていただきました。ノシ

 

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 講談社の背景はWikipediaの写真をトレースしております

恥ずかしながらこの体験自体は結構前の話ではあるんですが、個人的な記憶としてずっと頭の中にあったものです。この言葉のおかげで模写への大事さと、何より大ベテラン作家でもアマチュアでもやるべきことは基本的に変わらないのだなあと学びました。

 

3日目以降の話は引き続き次の記事をどうぞ。↓

naruton2018.hatenablog.com