名古屋市博物館で歌川国芳から芳年展を見てきました。
名古屋市博物館で高名な浮世絵師の一人「歌川国芳」と彼の弟子一門たちの遺した浮世絵展を見てきました。
おもに国芳の作品がメインでしたがこの時代の人間が現代人とほぼ変わらない高いレベルの表現力、想像力を持っていたと分かります。自分は戯画や浮世絵やが今のマンガと直接つながりを持っているとは考えてはおりませんが、それなりにインパクトを与えているのではないかと思いました。
以下は買ってきた図録を元に絵に自分なりに勝手に編集してイメージの表題をつけてみました。書いているうちに楽しくなってしまって大ボリュームになってしまいましたがご了承ください。。
これが図録の表紙になります。ガシャドクロに踊る猫の絵がキュート
通俗水滸伝豪傑百八人之一人花和尚魯知深初名魯達 文政10年 1827年
というタイトルの国芳の作品。当時の浮世絵は過去の歴史や日本や中国の古典作品の挿絵で人気を博していたそうで。なにせ映像エンタメが存在してないですからそれの代わりという事になるのでしょーか。
江戸時代のアリゲーターガー?
朝比奈三郎鰐退治 嘉永2年 1849年
鎌倉時代の朝比奈三郎義秀という当時人気のヒーローの逸話のイメージを描いた作品。このころ日本ではサメの事をワニと呼んでたようですが国芳は両方とも実物を知らなかったようで、代わりに森島仲良の「紅毛雑話」にあったカイマンの絵を参考に、独自のモンスターを作り上げたようですが、そのワニと魚のキメラ生物がアリゲーターガーみたいだったので。
言わずと知れたガシャドクロ
相馬の古内裏 弘化2~3年 1845~6年
おそらく国芳の作品の中でもっとも有名な一枚。当時の読本(ラノベ?的なエンタメ読物)「善知鳥安方忠義伝」の中のワンシーンの浮世絵化。原作では多数のスケルトンが主人公を襲う描写だったのを国芳がアドリブで一体の巨大な存在に改変。結果大傑作浮世絵が生まれたというわけ。
お江戸で人気のリョナとゴア
英名二十八衆句 稲田九蔵新助:芳年作 慶応3年 1867年
これは弟子の一人月岡芳年のもの。通称アンコウ斬りとも呼ばれる作品。当時は魚のアンコウを吊るして解体したところからつけられた模様。ちなみに血をホンモノぽく見せるためゼラチンを塗ってテカリをいれたというこだわりっぷりw
英名二十八衆句 直助権兵衛:芳年作 慶応3年 1867年
歌舞伎「東海道四谷怪談」の世界を題材とする直助がお袖(実は後に実の妹と判明)←妹萌えかよ! を手に入れるため夫を殺すだけでなく身元を隠すため顔の皮をはぐという凄まじいシーンの再現。この類の作品は血の色をよりそれっぽく見せるために絵師が摺り氏に注文を細かく出していたようです。
どうやらこの手の惨殺やグロシーンを描いた絵は当時人気があったようで実際他にも色んな作品が展示されておりました。最近ではゲームなんかでは血しぶき規制が厳しくなっていくご時世ですがゴア描写が好きな層は今の昔も結構存在してたって事すかね。
二次元美人、エロ画色々
古今比女架鑑 秋色 :芳年作 明治8~9年 1875~6年
明治初期に描かれた「秋色」という美人画女流俳人を描いたもの、ポーズや表情に動きがあって現代にも通じる可憐さが伝わってくる逸品だと思います。
山海めでたいゑ+天気したい 土佐鰹節:国芳作
山海愛度図会五十七 はやく酔いをさましたい:国芳作
見立多以尽 おしゃくがしたい:芳年作
「山海愛度図会」とは「○○したい」という女性の姿「かぐや様は告らせたい」じゃないすよ を全国各地の名産とコラボさせたいわばご当地アイドル的なシリーズのようで他にも色んなしたいシリーズがありました。
風俗参十二相 かゆさう 嘉永年間かこゐものの風ぞく:芳年作 明治21年 1888年
もうおっぱいがはちきれちゃってますw。幕末から明治中盤になってくると美人画の表現技法が上がってきて
色っぽさがだいぶ増していくようです。これに至ってはかなりのもんかと
竜宮から宝珠を奪還しようとする海女さんが、オオダコに絡まれるいわば当時の触手モノ。ちなみに同テーマでは国芳も海女さんがタコに絡まれる絵(今回の展示ではなかったので拾いもの)を描き、北斎も例のタコ×海女さんを描いているわけで絵師の皆さんどんだけこのジャンル好きなんすかと/(^o^)\
鹿児嶋の女軍隊戦の図:歌川芳虎作 明治7年 1877年
芳虎は国芳と仲が悪かったのか破門されたのちも個人で作品を出していった絵師
西南戦争において西郷軍では女性たちも武装して戦ったという記事をもとに描かれたもの。戦う女性が絵として描かれるというのは当時かなり珍しいものではなかったかと。なんか今でも出てきそうな感じの絵かともw 刀使の巫女?
ねこねこ国芳
流行猫の戯 身の臭婬色時:国芳作 弘化4年 1847年
当時有名な芝居の一場面を猫の世界に置き換えた「流行猫の戯」シリーズのうちの一つ。国芳自身無類の猫好きマンだったようで、好きゆえにシリーズしてしまったのでしょうか。しかし今で言うガチケモナーかとも(^^
スズメだらけ
里すゞめねぐらの借宿:国芳作 弘化三年 1846年
45年に吉原が焼失してしまったため仮店舗で営業再開したときの広告。遊女会の出版が禁止されていたためにスズメの擬人化で対応したものとの事。吉原の客を意味する俗称吉原スズメを当て込んだそうです。しかし上の猫といいどうぶつの森を連想せざる得ないわあ。
亀シーマン
当時の役者の顔を亀にコラージュしたもの。しかしセガが昔出した「シーマン」を
思い出さざる得ない
将棋兵ウォーズ
将棋の駒の特性に合わせて武器や戦い方まで考えて擬人化されている力作、国芳のエンタメ絵師としての能力の高さが分かる傑作だと思います。タイトルの太平記を太平期にしたというシャレのセンスもまた。
このブログで紹介するのは以上ですが実際に展示されいるもののほんの一部です。もう時間が明日しかないですが興味があってまだ間に合う方は行ってもいいのではないでしょうかノシ